鋸南町雇用創造協議会 こよう!鋸南

UIJターンの実際

座談会

UIJターン体験者インタビュー

人のつながりは、地元の大切なインフラ

鋸南町の電気とガスの仕事から考えること

三瓶 洋さん(47歳)有限会社 三瓶ガス/富永 哲一さん(43歳)有限会社 富永電気

電気とガスは日常生活を支える大切なインフラです。けれども、鋸南町でもっと大切なインフラがあります。それは「人のつながり」。三瓶さんはガス、富永さんは電気というインフラ関連のお仕事に携わりながら、消防団など地元の活動にも力を注がれています。

高等学校の先輩後輩というおふたり。何でも言い合える関係です。「地元を自動車で走っていてガスボンベの数から人口減少を実感する」と三瓶さん。鋸南町の家業を継いだおふたりは、地元をどうすれば活性化できるか真剣に考えていらっしゃいます。

道の駅 保田小学校のイタリアンレストランで、熱弁をふるう三瓶さんと富永さんのお話は、いつまでも尽きることなく続きました。

消防団、商工会、青年会は地元「3点セット」の仕事

――おふたりは地元の鋸南町生まれで、ガスと電気という町のインフラを守るお仕事をされています。簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか。

三瓶 プロパンガスと住宅設備機器の販売、水道工事をしている三瓶です。鋸南町の跡継ぎがいないガス事業を引き継いで、父親が始めました。現在、その仕事を私が継いでいます。

富永 家電製品の販売、電気工事、水道工事、消防設備工事などに携わっている富永です。祖父の代から電気屋を営んでいて、私で3代目です

三瓶 私は消防団もやっています。本部にいて、鋸南町の各地区1~4分団、女性消防団があり、各分団の指導や管理をしています。団長がいて、その下に副団長が3人いるのですが、そのうちのひとりです。消防団の活動は分団によっても違いますが、消防車の試運転、消火栓の点検、あとは出初式。はしご車を呼んで、放水までやりました。

富永 私も一般団員として消防団やっていました。

三瓶 うん、そうだね。地元にいると、消防団の活動、商売をやっているなら商工会、地域のお祭りや青年会といった3点セットの活動は大切ですね。

――お祭りのお話をお聞かせいただきたいのですが。

三瓶 ええ。私が住んでいる地区は勝山なんですが、祭りは年に4回あります。7月の第2土曜日が最大のお祭りです。10月の第2土曜日には、神社が同じなので近隣の3地区と祭りをします。彼も勝山なんです。

富永 ずーっと一緒にいるんですよ。27歳で実家を継ぐために鋸南町に帰って来てから、どんなときも。

三瓶 高校の先輩、後輩だからね。時期が重なっていないから、一緒に学校に通ったことはないけれど。

富永 お祭りの準備は掃除から始まって、太鼓の練習、酒飲んでって感じかな(笑)。屋台は夏は5台、秋は3台出ます。

三瓶 太鼓の練習は2週間前から、8回ぐらい練習します。だいたい、さわりは叩けるので、それぐらいの期間ですね。夜になると神社に集まって練習します。子供の時間もあるので、子供もやります。ああ、そういえば子供の頃はお祭り好きじゃなかったんだよね。

富永 へえ、そうなんですか。

三瓶 そう。ただ大人になってから「引っ張っているだけじゃつまらないだろう、やってみるか?」と言われて太鼓を始めました。太鼓の他に笛吹きはもいますが、笛の吹き手は少なくて、いろんな地区のお祭りに呼ばれています。

富永 いまは若手が少ないね。

三瓶 青年会員は23人ぐらいかな。青年会員の副会長もやっているんですが、お祭りの準備のために何回も会議に出ます。太鼓は道路を引き回すので、役場や警察署に提出する書類を作ったり。

――消防団、青年会に入るための資格はあるんですか?

三瓶 うーん。特にないですね……強いていえば、お酒が飲めることかな(笑)これは田舎暮らしに必要な資格といえます。もともとお酒は好きだったけれど、あそこまで飲めなかった。

富永 酒は本当に鍛えられて強くなりますよね。

三瓶 お酒が飲めなきゃダメってことはないですよ。でも酔っ払って、仲良くなるのが手っ取り早いですね。決めることはきちんと決めて、後は楽しく飲む。そうやって和気あいあいとやっています。

富永 お祭りのときにも飲むね。

三瓶 飲むことは飲むけど、上役になっちゃったからね。安全管理もしっかりしなきゃと。だから、もう控えてるよ。

インフラを見ているから、人口減少を痛切に感じる

――地元の活動が仕事に関係することもあるんでしょうか?

富永 うん。ありますね。

三瓶 私もあります。つながりができていれば、お互いに仕事でも助け合うことができるので。

富永 三瓶さんのところの工事もやらせてもらいました。うちはオール電化なので、ガスの仕事は三瓶さんにお任せするとか。

三瓶 そうやってお互いに助け合って仕事をしているけど、移住者の人口が少なくなったら、仕事が無くなるのはまずインフラ系からだね。

富永 国勢調査の結果で、鋸南町は人口が大幅に減少しているけれど、1万人切ってから減少がさらに早まったな。

三瓶 早まった、早まった。ひとりになると、都会に住んでいる息子さん、娘さんに引き取られてしまうこともあるね。

富永 うんうん。

三瓶 仕事で町中を自動車で走っていて感じることは「空き家や空き地が多くなったな」ということ。いままであそこは家があったよね、という場所が空き地になっている。

富永 増えたね、空き地は。

三瓶 空き地じゃなくても、仕事柄、ガスボンベがなくなっていることから人口減少に気付きます。あ、ボンベがない、住人がいなくなったんだ、と。電気のメーターが回っていないことを見ても気付きますね。

富永 普通の仕事をしていたら、そこまで見ないね。

三瓶 それはやっぱりインフラの仕事をしているからだね。ちょっとかっこいい言葉で言えば「地域を見守っている」仕事。だからこそ、地元からの信頼が必要です。

――移住者が増えて、空き家を埋めてくれるといいですね。

三瓶 移住者が部屋探しをするときに、部屋が空いているだけでは、ダメなんです。きちんと電気やガスのインフラが整備されていなければ生活できません。すぐに引っ越しをしたばかりの物件は、インフラが整っています。そういう物件は、移住者が引っ越してきても問題なく暮らせます。

移住には、働く考え方を根本から変えることが必要

――富永さんの店は人材を募集されていますよね?

富永 そう。うちは半年以上前から求人を出しています。30代の若い従業員が最近辞めてしまったので、人材不足なんですよ。従業員を3人募集しています。家電製品の販売、配達や御用聞きが1人。電気工事が1人。事務員を1人。パートでも社員でも構わないんですけどね。

三瓶 事務はやりたい人がいるんじゃないの?

富永 男性の応募はあるんだ。ただ、店舗で接客しながら事務もやってもらいたいので、女性がいいかな、と。

三瓶 ああ、なるほど。うちは基本的に家族経営ですね。人材が足りない部分は、業務委託をしたり、地元の業者さんに協力してもらったり。

富永 若い人が「仕事がないから」って理由で都会に行って、帰ってこなくなってしまうことがあるじゃないですか。地元の給料が安いからって聞くこともある。払えるならたくさん払いたいけど、こっちが潰れちゃうわけにもいかないんでね(笑)

三瓶 確かにね(笑)

富永 できるだけ要望には応えたいと考えています。ただ、仕事をきちんとこなしていただくことが前提であって。

三瓶 楽をしてお金をもらいたいという方が多いのかな。男性は、やっぱり現場で働いてもらいたい。インフラ系は、きつい部分もありますよ。でも、身体を使わないで高い給料をもらおうという考えはどうかな、と思います。

富永 そもそもインフラ系をやりたいって人が、いまは少ないんじゃないですかね。家電で他のお店とグループを組んでいるんですが、そこで人材を募集してもなかなか応募がありません。

三瓶 そうだね。もしかすると、仕事中心じゃない人が移住には向いているかもしれない。田舎暮らしが好きな人であれば、働く目的はお金じゃないでしょう。週末の休みは海に行って楽しむとか、そんな生活を求めている人は、移住しても生活を楽しめそう。

富永 釣りが好きだ、とか。

三瓶 そうそう。

富永 といっても、インフラ系の仕事でうれしいこともあるよね。それは、本来なら仕事でこちらがお金をいただいて「ありがとうございます」と言わなければならないのに、お客さんから「ありがとう」って言ってもらえる。

三瓶 ああ、分かる。困っているお客さんに感謝されるんだよね。高齢の方から、自分で作ったお漬物をいただくこともあります。農業の方なら野菜とか、漁師さんだったら魚とか。

富永 お客さんから感謝されることは、お金には代えられないね。

鋸南町では「人のつながりがインフラ」

三瓶 移住するときの心構えとして、鋸南町では「人のつながり」を大切にすることが大事なんですよ。それが不得意だと難しいと思います。

富永 三瓶さんとは先輩後輩のつながりですね。

三瓶 そうだね。

富永 先輩にも関わらず、がんがん言いたいことは言っちゃってますよね。

三瓶 それはさ、やるべきことをきちんとやってるからいいんだよ。そうじゃなかったらダメだろ。

富永 自分でやっていることに関してしか言わないからね。地元でも場所による違いがありますよね。

三瓶 多少の上下関係はどこにでもあるんじゃない? 中学校と高等学校でバレーボール部に所属していたけど、やっぱり上下関係はあったよ。

――移住する人に求めることってありますか?

三瓶 都会でリタイアして別荘を買って住む方には、少数ですが地区の自治会に入らない方もいらっしゃるんです。入らないとどうなるかというと、まず回覧板が回ってこない。厳密に言うとゴミも出せません。そういう人は向かないんじゃないかな。地域で暮らして情報が入って来ないということは「電気やガスのインフラがない」ことと同じなんです。

富永 ただ、いろんな生活ができる町でもあります。別荘を持っているお客さんで、鋸南町の中で佐久間、勝山、保田の場所に次々と別荘を移転されている方がいらっしゃいましたね。

三瓶 山の中の一軒家で暮らしている方も、生活を楽しまれているようでした。鋸南町で住むならどこがいいだろうね?

富永 勝山はいいけど、言葉がきついかな。

三瓶 漁師町だからね。私の奥さんは保田の人です。

富永 紹介してくれた方も保田の人でしたよね。

三瓶 うん。そういうところまで分かっちゃうのが地元だな。

――いきなりお話が変わりますが、お子さんはいらっしゃいますか?

富永 子供は上の子が同級生なんですよ。小学校4年で。下の子は1年生。両方とも娘。

三瓶 うちは息子ひとりです。

――自分の子供に店を継がせたいですか?

富永 継がせたいですよ。

三瓶 できればね。地元近辺で仕事をしているので、息子が大きくなったときの状況次第ですね。採算が取れるかなと。ただ、一度は東京など、地元以外の土地を体験してほしいかな。

富永 同感。

三瓶 女の子でも大丈夫かな?

富永 そういうことを言われると・・・・・・。けれども、田舎にいると井の中の蛙になっちゃうんですよ。だから一度は鋸南町以外の地域を体験してほしい。

三瓶 ただ、戻ってくるかどうかが問題なんだな。問題はそこ。

富永 自分に関して言えば、仕事はあまり好きじゃなかったけど「地元のお客さんを裏切れないな」というのが鋸南町に帰ってきた一番の決め手。仕事を継がないことで、地元のお客さんが困るわけで。

――鋸南町出身者としての責任が感じられる言葉をいただきました。本日はありがとうございました。

[取材場所]
Pizzeria Trattoria Da Pe GONZO
千葉県安房郡鋸南町保田724 (道の駅 保田小学校1F)
http://PizzaGONZO.jp/

三瓶 洋(さんぺい ひろし)
昭和43(1968)年11月生まれ。

東京の専門学校の電気科で2年学び、その後、家業を継ぐため鋸南町へ。勝山在住。消防団副団長、青年会員副会長など地域活動にも積極的に取り組む。

富永 哲一(とみなが てつひと)
昭和47(1972)年7月生まれ。

鋸南町出身。神奈川工科大学時代は、神奈川県厚木市で過ごす。大学卒業後、松下電器の学校で1年。東京都足立区で電気の施工管理を2年。27歳で家業を継ぐため鋸南町に。

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